ゆずおじさんの小話。

ほんわりなごむ小話集...

山の中。

山の中といえば...

 

大学3年の時の話。

 

その日僕は、後輩と二人で、渓流釣り?というものに出かけていました。

 

当時、僕は、釣りというものに興味があまりなくて、海へみんなで釣りに行っても、ビール片手に、エサ取られた釣竿いつまでも下げていたりするタイプだったのですが。とりあえず、お出かけは嫌いでない、自然は大好き、魚食べるのも大好き、ってことで、後輩の運転する8人乗りくらいのワゴンの、助手席に乗せてもらい、目的地へと向かっていました。

 

それで、1時間くらいかけて目的地の近くに来まして、それでもまだ朝の5時半くらい。

ちょっと道に迷ったかもしれない、ということで、二人で地図を確認することにしました。

 

もうその辺りは、山の中も山の中。人っ子ひとりいるはずないような所で、なので、車もそのまま道の真ん中に停めてまして...

 

これ、俺、地図見てわかるんかな?なんて心の中では密かに思いつつも、二人で地図を見ていると、突然、後部座席のドアが開きました。

 

間違いなく、誰かが後ろに乗ってきた。けれど、まさか、こんな時間、こんな山奥で...

 

僕たちは、ちょっとビビって後ろを振り向けず、もはや目に入っていない地図を見つめて固まったまま。

 

おいおいおいおい、これってまさか、幽霊とか、そんなん...

 

嫌な予感が脳裏をよぎりました。

 

後輩と僕、どちらが先に後ろを振り返ったかはわかりません。

 

基本的に僕、ビビりなんで、心臓バクバクだったんですが、後輩の手前、そんな姿を見せるわけにもいきませんし、勇気を出して後ろを...

 

と、ちょうど耳に入ってきた声。

 

 

「あらぁ、違うひとけぇ??」

 

 

見ると、ばぁちゃんが一人、後部座席に座っていました。

どうやら間違って僕たちの車に乗り込んだみたいです。

 

間違いに気づくと、ばぁちゃんはすぐに車を降りて行き、幽霊でなく普通の人間だったことに安心した僕たちは、二人で顔を見合わせ爆笑しました。

 

それにしても、こんな山奥で誰かと待ち合わせ??なんて疑問も浮かんだのですが、ま、いいか、と二人でまた地図を確認することにしました。

 

そして、しばらくすると、後ろから車の来る気配がしました。

どうやら、ばぁちゃんと待ち合わせをしていたひとが来たみたいでした。

 

 

 

車は、

 

 

 

 

軽トラでした。

 

 

 

 

ばぁちゃん、間違えるにもほどがあるでしょ!!

 

8人乗りワゴンと、軽トラ!!

 

引き戸と開き戸!!

 

「あらぁ、違う人けぇ??」ってその前に、思いっきり車間違ってますから!!

 

 

で、その日釣りを終えて、家に帰って気づいたのですが、後部座席には、みかんの皮が落ちていました。

 

 

ばぁちゃん!ゴミは持ち帰ってよ!!

 

みかんの皮は持ち帰ってぇ!!

 

 

 

☆今日のひとこと☆

あんなばぁちゃんになりたい。